日本はものづくり大国や科学技術立国と呼ばれ、大きな発展を成し遂げてきました。技術が加速的に高度化する現在、そして将来において日本が科学技術立国であり続けるためには、エンジニアの人口を増やし全体のレベルを底上げすることによって、優秀なエンジニアを輩出することが不可欠です。
より多くの人々にエンジニアの存在を身近に感じてもらい、特に未来を担う子ども達にエンジニアになりたい!と思ってもらうためには何が必要なのでしょうか?そのヒントはスポーツにあると考えています。世界で活躍する日本代表選手やプロ選手といったテレビで見るトッププレーヤーから学校部活動や地域のクラブや習い事、日常の一コマとしての遊びなど、スポーツは世代を問わず身近に存在します。だからこそ「あの有名な選手のようになりたい!」、「友達がやっているから私もやりたい!」、「近くにチームがあるから参加したい!」のような幅広いきっかけで興味ある人が増え、そしてその「やりたい!」を受け入れてくれる環境も整っています。
このようなスポーツの良さをエンジニアリングに融合した代表例が、ロボット競技です。チームで一つのロボットを作り上げ、白熱して競い合う姿は理系の甲子園と呼ばれるほどスポーツに近く、またその過程で総合的にエンジニアリングとチームワークも学べる良い教育ツールとしても活用されています。しかし、身近なスポーツに比べて、その参加ハードルは決して低くはありません。このロボット競技へ世代を問わずあらゆる人々が身近で参加できるような基盤を作り、また競技の中でトッププレーヤーたる優秀なエンジニアを育てる道筋を作ることができれば、スポーツのようにエンジニアリングに気軽に関わる人が増えるのではないでしょうか?
本機構は、あらゆる人々がエンジニアの素養を持ち科学技術の発展にともに貢献できる社会を創り、社会一体となって科学技術でより良い社会を共創する未来の実現を目指します。そのためにロボット競技を活用し、あらゆる人々が科学技術を学べる機会と場所、学びの道筋を、産学官民連携の下に整備・提供すること、そして科学技術に深い教養を持ち、周囲と力を合わせて困難に挑戦できる人材、“挑戦的共創人材”を輩出することが最大のミッションです。
本機構には、昔から学生・子ども達への支援、エンジニア界隈の活性化に取り組んでみたかった!ということを夢見てきたような一見不思議な大人達が集まっています。その大人達の多くは、高専ロボコンや学生ロボコン、ロボカップなど様々なロボット競技の経験者であり、その中で技術だけでなくチームワークといった人間力を磨いてきたからこそ現在も企業の第一線でエンジニアとして活躍するとともに、学生・子ども達の未来を、そしてエンジニア界隈の未来を本気で想っています。このようにロボット競技に育てられた私たちエンジニアが今こそ行動し、日本のエンジニア界隈の将来を担う学生・子ども達に希望を与え業界に活気をもたらすためにも、社会の枠組みを変える意気込みで本機構の発展に取り組んでゆく所存です。皆様には本機構の取り組みに叱咤激励を頂戴すると共に本機構の活動への温かいご支援、ご協力を賜れますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
一般社団法人 次世代ロボットエンジニア支援機構
代表理事 川節拓実(京都大学 講師)