代表理事挨拶

科学技術立国を自負する日本はものづくり大国、ロボット大国とも言われ大きな発展を遂げてきました。その発展を支えた人材育成に目を向けると学生・子ども達向けのロボットコンテストが普及するなどものづくりを実践的に学ぶ多様なフレームワークが古くから提供されてきたことが日本の一つの特徴です。しかし、近頃ものづくりやロボットに興味がありそれを好きなだけ学びたい学生・子ども達にとっては息苦しい世の中となりつつあります。ロボット製作をはじめものづくりには資金だけで無く製作時間、製作環境など多くのリソースが必要です。一方で、学校等では予算削減や教職員の働き方改革のため製作費や活動時間が削減されるなど、学生・子ども達にものづくりの情熱があったとしても自由に学べる環境は失われつつあり、またそれを最大限サポートできる指導者も不足しています。このままでは日本をものづくり大国としてその発展を支えてきた若手人材の育成の場が失われてしまい、勢いづく諸外国に日本のものづくり業界は立ち向かえなくなるのではないでしょうか?

本機構はこのような状況を打破するために設立されました。ロボットをはじめとしたものづくりを学びたい学生・子ども達に好きなだけ自由に学び、ものづくりができる最高の環境を与える、それこそが学生・子ども達にとって最も価値あることです。本機構ではこのような環境を提供するため、企業様や個人様、また諸団体様といった多くの皆様のご支援を頂戴しながら、前身の学生支援団体の事業を引き継ぎまたさらに発展させる形で学生支援事業を実施、推進しています。

本機構最大の目的は、ロボットコンテスト出場を通じて思う存分学びが得られるように学生・子ども達を支援すること、そしてその中で育った優秀な学生・子ども達が日本のものづくり業界に行き渡り活性化させる、そのようなロボットコンテストを通じて学生・子ども達と企業様が繋がる新しい枠組みを構築することです。企業様のご支援の下に学生・子ども達はロボット製作でスキルを磨きながらさらに企業様との間でコミュニティができ、密に結びつくことで将来の就職活動等の一助に繋がる、そのような新しい就職活動の枠組みを構築できると期待しています。米国や中国はいち早くこの枠組みを作り上げ、海外のロボットコンテストはいまや企業の青田買いの場としても活用されています。科学技術立国である日本がこの流れに乗り遅れるわけにはいかず、今まさに大きな転換が必要です。また、もう一つの目的はものづくりの魅力の発信や初学者が参入しやすくなる支援の実施、また学生・子ども達のみでなく現役エンジニアにとっても生涯学習が可能な場の提供を通じて、ものづくり界隈の人口の増加を狙い、界隈をさらに盛り上げていくことです。

上記の目的を達成するために、この機構では次の事業を柱に取り組んで参ります。

1.ロボットコンテスト出場チーム支援事業

日本は古くからロボットコンテスト(ロボコン)が普及してきたにも関わらず、これまでロボコンは単なる部活動として趣味やある意味遊びの一つとして捉えられてきました。しかし実際にはロボコンは機械、電気、ソフトウェアの実践的知識、経験を獲得できさらにチームワークやマネジメントを含め即戦力を持つ人材育成の場として活用可能な極めて優れたフレームワークの一つです。本機構ではロボコンに出場し、ものづくりを学びたい学生・子ども達に対して全国から広く公募を行い、製作費やメンター等を提供する支援を実施しています。また本機構においても機構が保有する重点強化チームとして、中学生から大学院生まで広い層の学生・子ども達が全国から集い、本機構の下で国際的なロボコンに挑戦しています。

その他の支援として、本機構が保有するロボット製作スペースを外部チームの方々にもご利用頂ける枠組みを準備中です。また、チームへの直接的な支援のみでなくコミュニティへの支援も実施予定です。例えば学生・子ども達が主導するロボコンコミュニティで企画、主催されている交流会やロボットコンテストなどの各種イベントに対し、全国から広く公募を行い選出したイベントの運営に要する費用を一部助成する支援も実施予定です。

2.ものづくり活性化事業

”エンジニアこそが、世界で一番カッコイイ”。これは本機構の学生・子ども達が出場しているRoboMasterというロボットコンテストのコンセプトの1つです。この言葉の通り、エンジニアである私たちにとってはエンジニアこそが楽しくカッコイイ職業であるということを存分にアピールしていくべきです。そこで本機構では、エンジニアを子ども達の憧れの職業に、また社会的にもエンジニアをより身近な職業に感じてもらうため、様々なイベントで本機構の事業や製作したロボットの展示、実演、講演等に取り組んできました。一方でイベント出展は学生・子ども達にとっては自身が普段取り組んでいることを他者にわかりやすく伝え、効果的なPRの方法を勉強する機会でもあり、単に技術を学ぶのみではなくアウトリーチの方法についても学ぶ機会としても活用してもらっています。

また、本機構の特徴は全国から様々な経験や専門知識を持った学生・子ども達またそれを支える現役エンジニアが多く集っていることです。この経験、知識をものづくり界隈へ共有し高め合うために勉強会やワークショップを実施しています。この勉強会やワークショップの対象は学生・子ども達のみでなく現役エンジニア自身でもあり、分野を超えまた就職して以降の学びの場としても企業様に活用されることを期待しています。機構内部だけに閉じず外部の学生・子ども達や現役エンジニアにも参画頂き、日本全体のものづくり界隈の底上げに繋がることを期待しています。

 

以上2つを事業の柱とし、本機構に所属する学生・子ども達にものづくりをする最高の環境を提供するのみでなく、全国の様々なチームでものづくりに挑む学生・子ども達にもロボットコンテスト出場の支援を、そしてものづくり業界の皆様にも技術や知識を高め合う場を提供することを並行して推進し、ひいては日本のものづくり業界の活性化に繋げてゆきます。

本機構には、昔から学生・子ども達への支援、ものづくり界隈の活性化に取り組んでみたかった!ということを夢見てきたような一見不思議な大人達が集まっています。その大人達の多くは、高専ロボコンや学生ロボコン、ロボカップなど様々なロボットコンテストの経験者であり、その中で技術だけでなくチームワークといった人間力を磨いてきたからこそ現在も企業の第一線でエンジニアとして活躍するとともに、学生・子ども達の未来を、そしてものづくり業界の未来を本気で想っています。このようにロボットコンテストに育てられた私たちエンジニアが今こそ行動し、日本のものづくり業界の将来を担う学生・子ども達に希望を与え業界に活気をもたらすためにも、社会の枠組みを変える意気込みで本機構の発展に取り組んでゆく所存です。皆様には本機構の取り組みに叱咤激励を頂戴すると共に本機構の活動への温かいご支援、ご協力を賜れますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

一般社団法人 次世代ロボットエンジニア支援機構
代表理事 川節拓実(大阪大学 助教)

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